第11回 ご報告

2019年度 経団連自然保護基金 プロジェクト

コーヒー生産者組合構築

サバル村の村人のクチンの焙煎工房の見学

(2020年3月13日)


2020年度は、気候的な問題などで、苗木育成に時間が掛かり、農園への植林は、大幅に遅れたものの、有機肥料用のミニ・コンポスト・センターでは、肥料として使える状態まで出来ており、コーヒーの木の苗木センターは、今年の最後を締めくくるべく約1000本ほどの苗木が、最後の活動となる、今月末に予定している植林では、植林可能な状態には成長できています。全体的に見れば順調だと思われます。

クチンの焙煎工房の見学は、村人が、これからコーヒー農園、精製まで含めた「コーヒー生産者組合」を構築していく上で、村人へのコーヒーに対する理解を深めてもらう事が主たる目的です。農園や精製場の管理や維持、クチンの店舗や輸出先など、コーヒー苗木から、コーヒー農園、精製場(ここまでは、サバル村)、生豆を出荷して、クチンの焙煎工房での焙煎から、お客様の口を潤すまでの、総合的な理解をしてもらいます。

特に、サバル村にとっての最大のメリットは、品質の高い、海外輸出を生産する事を目指す事で、国内消費のものより、より多くの利益を得る事ができるようになり、安定した収入源となりうることで、継続的な村人の収入減に繋がっていくことが出来ます。

まずは、自分たちが日々口にしている、一般の品質のローカル需要のコーヒー(バターで炒めて焙煎したものや、深入りのもの)とは異なる、世界で特に先進国で一般的に飲まれているコーヒーの味を試してもらい、自分たちがこれから育てようとしているコーヒー農園、そして、コーヒー産業の一部を感じ取ってもらえれば、今後の活動で反映されていくこと期待します。

2020年3月13日

サバル村より、遠路はるばる、3時間ほどかけてクチン市内に来てもらいました。新型コロナウィルスの感染が広がってきていますので、皆さんにマスクをしてもらっています。

CHANG氏のBlack Bean Coffer &Tea Leaf 社のコーヒー焙煎工房にて、コーヒー研修を行いました。

 

CHANG氏とサンドラ女史による、コーヒー全般の説明です。まずは、コーヒーという植物がどのように世界にもたらされたか、13世紀頃から焙煎して抽出したコーヒーを飲むようになり、最初は宗教の秘薬として飲用されていのが、1454年に一般庶民が飲む事が出来るようになり、中東やイスラム界で広がって、16世紀にはオスマン帝国やバルカン諸国、ヨーロッパに伝わり、ローマ帝国以降17世紀中には、ヨーロッパ全土に伝播した。北米には、1668年に移民によって伝わった記録が残っている。

 

現在、コーヒーを栽培している地域の赤道南北のコーヒーベルト(北回帰線と南回帰線の間)の約70か国の国で生産されているものの、ボルネオを含むマレーシアは生産量がほとんどない。また、コーヒーは、エチオピアが原産のアラビカ種、アフリカのコンゴが原産のロブスタ種、そして、村で植えている、アフリカのリベリアが原産のリベリカ種がある。アラビカ種は、標高が高い場所での栽培に適しており、リベリカ種やロブスタ種は低地での栽培に適しているが、肥沃度の点では、近隣に火山だった場所があれば、その火山灰の土壌が、コーヒー栽培には優位であるが、ボルネオ島には、そのような場所がほとんどなく、川が多いので、洪水の影響も不安材料であり、また、人口が少なく労働力が不足している、そのような要因がコーヒーの産業が発展しない主な理由であるとの事でした。

  

実際に村人に、ブラジル産のアラビカ種のコーヒー、サラワク産のリベリカ種のコーヒー、ジャワ産のロブスタ種のコーヒーを味あってもらいました。

 

アラビカ種は、酸味があり、甘みや苦み、複雑な味を感じ取れ、リベリカ種は、あっさり、酸味や苦みも少なく、ロブスタは、苦みが強い事を味合いました。村人が、まずは、一般的に売られている挽いたコーヒー豆とは、全く異なると言っていました。特に、その一般的なコーヒーは、ミルクや砂糖を入れて飲む前提ですので、深い焙煎ですので、単体と飲むと苦いだけのコーヒーが、このように、種類によって味や風味が異なるものだと知って驚いていました。さらに、アラビカ、ロブスタ、リベリカ、それぞれの中でもさらにたくさんの種類や品種がありますが、その種類の多さに一同驚いていました。

 

次に、実際に村人が関わる事となる、農園での収穫や、コーヒーの実の成り立ちなどの説明です。前回の育苗の際の種子の脱肉法とは異なります。特に、収穫での重要なポイントは、完熟した赤い実だけ収穫して、緑のものや黒くなったもの、まだ半熟のもの、そういったものを、この段階で選別を行う事が重要だとの事でした。

 

チェリーの収穫後、果実のまま乾燥、水洗して脱肉、さらに水洗、約2週間前後の豆の乾燥、パーチメント(内果皮)の脱穀、選別の作業の説明です。村人が、近い将来に、やっていく作業です。

  

機械での脱穀と(2021年度のプロジェクトで購入予定)、先住民族の伝統的な臼での脱穀法なども紹介されました。作業の中では、乾燥が一番重要なポイントで、水分を15%以下になるまで乾燥しなければならず、実際にこの作業をする段階には、水分測定器を使って、実際に測ってもらう予定です。

 

サンドラ女史が、精製乾燥後の生豆の優劣状態の写真を見せて、細かく、説明してくれました。また、生豆の出荷状態としては、大きなビニール袋に入れて、麻袋に入れた状態で出荷というのが一般的だそうです。村人も、近い将来、この生豆の出荷までの作業は彼らがやらなくてはいけません。

 

このようなカフェは、クチンでは、まだ少ないですが、それでも、増加傾向であり、サバル村で作るコーヒー豆が良質なもので、品質選別をきちんと行う事が出来れば、より高い値段で販売する事が出来るという事を力説しました。品質の悪い生豆や砕けてしまったものは、右の写真のように工場で、大量消費用のインスタントコーヒーや安価なコーヒーなどに使われ、そのようなコーヒーは、生産者より安く買われたものである事を認識してもらい、品質管理が非常に重要な事を伝える事が出来ました。

 

ここは、CHANG氏の専門ですが、村人にこのような品質を保つ事の重要性を深く理解してもらうために、この最終段階の焙煎の仕方や焙煎によるコーヒーの利用法などを説明してくれました。

 

また、バリスタや、カップテイスターなど、実際にCHANG氏やその奥様なども、同様の検査を出来ますが、この店で提供したり、市内での販売、海外への輸出に関しては、その力量が必要となりますが、やはり、重要なのは、元となる生豆の品質が良いものでないといけないのです。ワインのテスターのような、味覚の一覧で、果物の味なの表記など、細かく表記されていました。

 

最後に、村人のコーヒー農家から、人々の口に入るまでをまとめたもので、特に、コーヒーの品質による岐路の場所に関しては、CHANG氏が力説してました。

さて、この工房では、焙煎工房があり、マレーシアで一番最初の焙煎機(1970年から利用)がありますが、分量が限られるので、現在は、最近の新し焙煎機を使っています。ここで、焙煎の状態の調整などを行い、顧客のニーズに対応しています。最近のクチンのコーヒー愛好家の指向は、浅煎りのコーヒーのようです。

 

機械の説明を村人にしています。

 

世界中の様々な種類や特徴のあるコーヒーの生豆を展示しており、各豆の特徴なども説明してくれました。

 

こちらは、生豆の倉庫です。サラワク産のコーヒーだけでは、供給が需要に全く追いつきませんので、ジャワやブラジル、コロンビアなどからも入荷しています。出来るだけ、サラワクで供給できるように、このプロジェクトでも成果を出したい所です。手にしてみせているのが、リベリカ種のコーヒー豆です。

 

村人もじっくりと、彼らの将来の出荷品の様子を目に焼き付けています。

 

しかし、その麻袋内のものも、100%が焙煎に進める事が出来る状態でもなく、さらに、店舗で良い豆だけを選んで焙煎します。下記の豆が焙煎可能だと品質を保った豆です。この部分が、村人に多く依存し、品質の良いものをきちんとより分ける重要性を学んでもらいました。

 

いくつかの種類のコーヒーや、パーチメントのさらに内側のシルバースキン(銀皮)を外したつるつるした豆などもありました。

 

このダンボール箱は、今年、村人と視察に行く、サラワク州北部の奥地のコーヒー農家の出荷したコーヒー生豆の箱。最初は村全体で行っていたコーヒーの生産も、結果、1家族のみが継続している状態ですが、その場所は、アクセスや、近隣の民族間などの問題など、様々な課題があり、それに比較すると、サバル村は立地的に優位ですので、下半期の視察が良い刺激になると良いです。

 

男性陣が、コーヒー生豆で興味津々の間、女性陣は、焙煎されたコーヒーに興味が行って、サンドラ女史が案内してくれました。 

 

最後に、みんなで、CAFE体験です。近くの町のKEDAI KOPIとは異なる感じですね。コーヒーもいろいろ種類がありますが、料金を見てびっくりです。

 

参加者全員に、これから、村人で力を合わせて作っていくリベリカ種のコーヒー豆をお土産として渡しました。この味のコーヒーをこれから育てていきます。

 

2019年 経団連自然環保護基金 コーヒー生産者組合構築プロジェクト クチンの焙煎工房の見学

期間:2020年3月13日

場所:Black Bean Coffee & Tea Leaf 社 

責任者: Mr. Chang Jong Yiaw

NPO担当:鍋嶋 / Alex Then Yin Siong  

サバル村の参加者:Mr.Ekin Empati(対象家庭1)x 2名 /  Mr. Ragai Maju (対象家庭2) /

Mr. Nyanmdan Wednesday(対象家庭3) / Mr. Bagong Bundan (2020年度対象家庭1) / Ms. Rumei Lading 

 Mr. Subong Buyong(2020年度対象家庭2)/ Ms. Deline Julias(2020年度対象家庭3)/

Mr. Jimmie Rand  / Mr. Adrian Bawin

 

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