ご報告

2021年度 経団連自然保護基金 プロジェクト

コーヒー生産者組合構築

202224

サバル村の代表者と、サラワク州農業省のTARAT農業試験場へ訪問

 

2021年度の上半期から11月にかけての感染防止の行動制限令のため、農業省の農業試験場への訪問が、この時期になってしまいましたが、逆に、Long Lellang村の視察の後でしたので、より一層、有意義な研修が出来たと思われます。

 

サバル村の代表者4名に来てもらい、ハイブリッドの苗木や、接ぎ木の技術、果実のコーヒーチェリーの状態や、木の育て方、品種や、別の種類のアラビカ種やロブスタ種などの木々を見学させてもらい、コーヒー栽培の視野を広げる良い機会となりました。

 

コーヒーの木は、植えて6年目位から、実を多くならせるピークの時期が来て、最長では、30年ほど収穫可能ですが、そのためには、定期的な、木の手入れや、その畑の維持をきちんとやっていかないといけません。落葉や過熟の果実など、病害虫を誘引するものを、出来るだけ、少ない状態に保つ事で、良い畑、さらには、健全なコーヒーの木々、そして、高品質なコーヒーに繋がるとの事でした。

 

202224 農業省のTARAT農業試験場への視察  

 

サラワク州農業省のTARAT農業試験場に、サバル村の代表者4名と訪問しました。

試験場の責任者のKENNEATH氏が出迎えてくれます。

まずは、品種改良の第5世代目の鉢植えのものを見せてくれて、その特性を説明してくれました。

 

このコーヒーの栽培は、古くは、19世紀のブルック時代にさかのぼり、サラワクの現在の名産であるコショウよりもずいぶん早く、コーヒーの栽培に挑戦して、最初は、一般的なアラビカ種を植えたそうですが、まずは、その標高の低さや、気温などの原因で、全く育たず、その後、ロブスタ種に変えて、栽培可能ではあったものの、その後導入されたリベリカ種の方が、このサラワクでは、その土壌や気候などに適していたという記録が残っております。

 

その後、コーヒー産業は、その他の作物に比べて、ここサラワクでは、浸透しなかったのですが、農業省としては、約30年前ほど前より、この農業試験場で、品種改良を進めてきたようです。現段階では、アブラヤシやコショウのような大きな産業にはなりえていないのですが、ここ数年、世界のコーヒーの需要が高まる状況から、ここサラワク州の各地で、コーヒー栽培の推進を行っています。KENNEATH氏に、これからの農作物では、コーヒーは筆頭にくるとの事で、政府の機関としても、各地で推進をしているとの事でした。

今から50年前頃の話だと思いますが、この代表者達が、まだ子供の頃、かつて、コーヒーの木があったというのは、各地の村でよく聞く話で、ただ、かなり前に、そのまま放置、もしくは、別の農作物に変わっているという話でした。その際、その果実を乾燥させ、生豆を中華鍋でバターで炒めて、挽いて、コーヒーを飲んだという話を良く聞きます。今でも、その焙煎方法をしているコーヒーは健在ですが、私たちの目指す目標は、これとは異なります。

左の写真のタグが付いているものは、第5世代目の品種改良のリベリカ種で、非常に良い結果が出ており、現在、第7世代目は、経過観察中で、期待されているようです。

 

さらには、接ぎ木での苗木作成の指導も受け、村人は、いくつかの農作物で経験はあるものの、コーヒーの接ぎ木の苗木の話を食い入るように聞いていました。良い果実をならす木からの接ぎ木は、安定した同様の果実をならすので、ばらつきを減らす事は出来ますが、接ぎ木での苗木育成は、より時間が掛かるものですので、長い先の話になるとは思います。

 

農業試験場内のコーヒーの木の畑もじっくり見学させて頂き、栽培時の木のトリミングや収穫時の作業の詳細などを、KENNEATH氏が丁寧に説明してくれました。LONG LELLANG村の話で聞いたのと同様の事でしたが、それでも、全員、真剣に聞いておりました。

  

ただ、LONG LELLANG村の標高の高さと、サバル村の低地であることで、木を横へ広げて、果実を陰にするという点は、KENNEAT氏は異なる見解で、それは、この農業省や、一部の近隣の小作農の方のコーヒーの木やその果実の状態が良い事から、そのようにする必然性はあまりないとの事でしたが、木の高さをあまり高くせず、自分の手が届く高さに木を保つために、トリミングするべきという点は、共通する指導でした。

右側の写真は、コーヒーの花の蕾です。この姿が見れるのは、まだ先かもしれませんが、この蕾が出てくるのは、そう遠くない日だと思われますので、ワクワクします。

 

どうも、苗木作りに開眼したようで、別の場所で採れた果実で、比較するのにも、この試験場から、完熟した果実を少し頂きました。早速、村へ戻り、各家でも苗木作りを考えているようで、もはや、各自で、自分自身で、苗木作りや、畑を作りたいとの意向でした。

確かに、ここも、花の蕾、白い花、若い緑の果実、完熟した赤い果実、それぞれが、どの木もぎっしり付いており、さらなる期待感を村人に印象付けることが出来ました。

こちらは、成長や果実のなりが非常によい状態が良いとされる第5世代目の品種改良の苗木と、経過観察中の第7世代目の苗木を、村人へ進呈されましたので、早速、村に持ち帰って、母樹として、苗木センターの傍に植える予定です。

さらに、今すぐ植えれる苗木も頂きましたので、これも、村へ持ち帰り、苗木センターで少し保管し、近日中に、村人のまだ植えていない人に植えてもらう予定です。

 

最後に、コーヒーの栽培、苗木育成、精製や、現在のサラワク州のコーヒー産業の現状など、多岐に渡るコーヒーの話をKENNEATH氏がしてくれて、さらなるコーヒ―の可能性に、村人たちが希望と士気を高める事が出来ました。

 

 

その他の作物の話題にもひろがり、一番驚いたのは、沈香の木が、今や、お香になる部分で、品質の高いものは、お香の部分で、1㎏で、RM18000-25000(45~60万円相当-10年前は、1㎏でRM5000ほど)で取引されている話を聞き、村人が、7~8年前に植えた沈香の木の価値を、改めて痛感するという、良いおまけもついて、今までの活動が、彼らにとって、大いに良い方向へ向かっているのを実感できたと思います。

 

KENNEATHさんの話で、感慨深い話の一つに、今、50代から60代の先住民族で、都市部で働いていた人々が、時間と余裕が出来、余生を故郷の村で暮らす人が増えており、良い収入になるアブラヤシの農園を始める人が増えているが、確かに、まとまった収穫が出来るようになれば、良い収入になるのは間違いないのですが、そうなるまでに、かなりの年月(3-4年)がかかり、また、ある程度の規模の面積が必要となり、その維持も大変で、その収穫をやるとしたら、アブラヤシの一つの実で、50~70㎏程となり、かなりの重労働となり、その年代の方が今から植えると、大変な将来が待っていると。アブラヤシは、1トン(20個位の実)で、RM 1000(変動します)が、かなりの重労働で、若い人にしか勧められないと。

 

一方で、コーヒーは、自分一人でも見て回れる、コーヒーの木の30本位の畑にしたとしても、植えてから、4-5年後には収穫を見込め、100㎏の果実の収穫から、乾燥後、7㎏のコーヒー豆が出来るとして、1㎏がRM 25-30として、同じRM 1000を得るためには、40㎏程のコーヒー豆があればよく、その分量を生産する果実の収穫は、600㎏程の果実で可能であり、週に1~2回コーヒー畑で、散歩手入れしながらという軽い感じで、、1日短い時間で20㎏位ずつ収穫するだけで、効率も良く、労力も少なく済み、年配の方でも、長く持続して維持できるという意味では、非常に適した農作物である、そんな話を聞いている途中、村人の中に、これからアブラヤシをという人もいましたが、この話を納得し、考えを改めようかという話をしていました。

 

そして、リベリカ種を選んだ理由が、認知度が低く、需要もそれほどないかもしれませんが、その欠点を補う要素が多大にあり、最低限として、この土壌や気候に適しているという事もありますが、それは、ロブスタも栽培可能で同様です。ただ、ロブスタ種は、世界中に広く流通して、供給過多気味ですので、非常に低価格で取引されているので、あえて、この地域でやるとしても、採算性が合わないので、その点、リベリカ種は、現在はあまり浸透していないので、その品質や、その焙煎次第では、より高い価格で取引する事も可能で、村人のより良い収入になる結果に結びつくことが可能となります。

 

その点を考慮してかどうかは不明ですが、マレーシアでは、リベリカ種を栽培する農家や、高品質なコーヒーを提供する店舗や、コーヒー豆などを輩出している傾向にあります。さらには、国際的なコーヒーのイベントで、マレーシア産のリベリカ種が賞を取ったりしたとのKENNEATH氏の話は、リベリカ種の発展が現実味を帯びてきている良い兆候かもしれません。

 

さて、次は、果実が乾燥後、脱肉機で、生豆精製作業と、コーヒーの生豆精製の最終段階を近日中に行います。もう一歩です。

 

2021年 経団連自然環保護基金 コーヒー生産者組合構築プロジェクト サバル村の代表者と、サラワク州農業省のTARAT農業試験場へ訪問

期間:2022年24

場所:サバル・クルイン村

責任者: Mr. KENNEATH (TARAT農業試験場責任者)

NPO担当:鍋嶋 / Alex Then Yin Siong  

Sabal Kruing 村

Mr. Ekin Empati (対象家族1代表者)/ Mr. Ragai Maju (対象家族2代表者)/ Mr. Nyandang Wednesday (対象家族3代表者)

Mr.Bagon Bundan (対象家族4代表者)/

 

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