ご報告

2022年度 経団連自然保護基金 プロジェクト

UNIMAS大学と共同での動植物の生態調査をもとに

「コミュニティ・フォレストのエコ・ツーリズム開発」

Develop Eco-Tourism at Sabal area and its surrounding

through ecological survey of flora & fauna with UNIMAS and the native.

 

UNIMAS大学との打合せ、及び、サバル村への視察、カメラトラップ講習など。

 

 

コーヒーの生産者組合としての基礎固めは、2019~2021年度の3年間で、無事に設置でき、残るは、植えたコーヒーの木の実が赤く実らすのを待ち、その収穫を出来るようになれば、そのシステムも本格的に指導すると思います。マレーシアもエンデミックに移行し、村同士の行き来も増え、このコーヒーのプロジェクトも風の便りにのせられ、随分、遠くの人からも、コーヒーの苗木が欲しいと言われて、彼らの情報ネットワークに感心しながらも、してやったり感があり、嬉しい限りです。

 

 コーヒーは、是非、村の関係者で、小さな成功を達成し、それが勝手に広がる事を見守りながら、当団体は、2022年からのプロジェクとして、既植林した森林や、近隣の森林、インドネシアとの国境を跨ぐクリンカン山脈のマレーシア(サラワク)側の森林を、残すために最善の方法は何かと考えた時に行きついたのが、この地域の森林に、ツーリズムの資源を有意義に使い、ここを訪れる人々に、ツーリズムとして、又は、この地域で取れる農産物の販売や、その他、関連事業を推し進めていくには、この森に、どのような宝物が眠っているかを、まずは、知る事が先決で、そのダイヤモンドを、村人に提示して、それを大切にしていくには、どうしたらよいかという事を提示する事が良いのではと考えました。

 

そこで、この3年間を利用して、2022年度の今年は、この地域の珍しい希少動物の生態調査をUNIMAS大学と共同で行います。この近隣の森では、イノシシやシカなどが生息しているのは、周知の事実で、インドネシア国境のあるクリンカン山脈の方からは、テナガザルの吠え声が毎朝聞こえ、サラワク州の象徴の鳥のサイチョウが、朝晩、空に羽ばたきます。また、ハリネズミや、ヤマアラシ、ジャコウネコ、さらには、原猿類のスローロリスやメガネザルなども、目撃の報告がありますし、ある村の近くの小高い丘の森では、珍しい行為をするボルネオ・クジャクのメスを呼ぶ声が頻繁に聞こえるそうです。また、インドネシアを股に掛けるクリンカン山脈には、今も、オランウータンが生息するとも言われています。

 

まずは、それらの動物達の生息状況等を、UNIMAS大学の専門家に、先住民族に協力してもらいながら、カメラトラップなども駆使し、1年間行います。

2023年度の2年目は、熱帯植物を中心に、UNIMAS大学の専門家に生態調査を行いながら、近隣の村人対象に、この地域の森の景観の良い場所や、滝、展望できるような場所の写真をSNSを利用し、コンテストを行い、村人自身の応募作品に出た様々な情報と、UNIMAS大学の専門家の方との学術調査の両方の情報を掛け合わせ、一般の方でも気軽に森を歩け、そして、なにか興味深い景色なり、自然なり、動物なりが観察できる、ハイキング道の下地を作る事を計画しています。

 

2024年度の3年目は、そのハイキング道の整備をしながら、まずは、サラワクの人々への周知のために、UNIMAS大学のエコツーリズムを学んでいる学生のフィールド・トリップをした上で、展示会などを開き、政府の観光機関や、関係機関、旅行業の方に広報活動をしたり、最近流行りのTRAIL RUNをここで開催したりする予定です。

そして、この森の中に、良い展望があるのであれば、展望台を、興味深い動物が日々訪れる場所が確定できれば、そのカモフラージュ出来る観察小屋を、そのいずれかを、まずは、この3年間の締めくくりとして、建設する計画です。その後、必要に応じて、資金を確保しながら、増設していきたいと計画です。

 

UNIMAS大学も、マスター課程の学生が、このプロジェクトを題目にされたい方もいたりと、非常に幸先が良いのですが、その大学の最終年の年度末が7月初旬で(新学年は9月開始)、この4~6月は、教員も学生も忙しい時期に当たるので、その調整に時間が掛かりましたが、7月中旬には、最初の調査に入れそうな予定です。

 

2022年4月21日 UNIMAS大学にて、資源科学技術学部のDr. Qammil Muzzammil Abdullah講師と今回のプロジェクトの概略打合せ。

 

このプロジェクトの計画の時から相談させて頂いたDr. Qammil講師に、具体的な3年間の計画の打合せを行い、現段階で、2022年9月から大学院生になる学生がこのプロジェクトをテーマにしたいという希望者もいるとの事で、その学術的なテーマと、このプロジェクトが上手くかみ合った事を認識できました。

 

2022年4月23日 Nyalitak村で、とある会合の際に、このプロジェクトの概要を説明。

 

近隣の森の中で、何かを探す場合の効率的なのは、日常的に、近隣の森を行きかう、近隣の住民たちです。彼らにとって、今まで、何の意味ももたらさない動植物が、もしかしたら、専門家の目が加わると、沢山の宝物が出てくる事に期待します。

 

2022年5月24日 UNIMAS大学で、Dr. Qammil講師と、学生代表2名と打合せ、及び、カメラトラップの受渡し

 

Dr. Qammil講師と学生たちが考えた年間計画を元に、具体的に、細かい打合せをしました。

 

今年度の主人公のカメラトラップ24セットを、必要な乾電池や固定用の紐なども含めて、一式、受け渡しをしてきました。

このカメラが、野生動物の決定的瞬間を捕らえる事が出来る事を期待しています。

 

2022年6月10日 UNIMAS大学のDr. Qammil講師と学生3名と、Sabal村とNyalitak村に視察

 

調査となると、数泊しないといけませんので、今回の視察の主な目的は、その宿泊場所です。SABAL村では、RAGAI氏のお宅が広いので、そちらをお借りする事となりました。

 

そうこうする内に、いろんな人が集まってきて、情報収集です。やはり、森に一番入っている人は、狩人ですので、今後は、そういった人に聞き込みをし、実際に森に同行してもらうので、情報を集めておいて頂くことを依頼しました。また、そういう人は、いつも銃を持っているので、UNIMAS大学のチームに同行する事で、観光資源になる動物や小動物などを教えながら、手を付けていけないものは何かというのを学んでもらうのも、一つの目的です。実際は、最低限のタンパク源があれば良いので、自分の家族や近隣の人が食べれる獲物だけの時は良かったのですが、販売をする人もいるので(実際は、販売すると違法)、そうなると、野生動物の減少に拍車をかけるので、その考え方を再認識してもらい、結果として、生態系の保全に繋がると良いと思います。

 

こちらは、Nyalitak村です。クリンカン山脈とは道を挟んで反対側ですが、ここには、小高い丘の森があるので、そこも、調査対象地域としていますので、その村内の宿泊地を決めてきました。また、写真を撮るのを忘れたのですが、村長さんと話している時に、いろんな動物が生息する話が出て、期待も高まります。

 

 

ちょっとついでに、サバル村のコーヒーの苗木センターによってきました。

 

2月に播種したのが、左側の写真、約900の苗木がすくすく育っています。右側の写真は、今すぐに植えれそうな苗木。希望者に配っていきたいと思います。

 

2022年6月17日 UNIMAS大学の試験林で、カメラトラップの講習

 

UNIMAS大学の試験林の試験場で集合して、まず、カメラトラップの機能を、サラワク州森林局の調査の専門家のMr. Marzuki Bujang氏による講習を受けてもらいました。まずは、最低限の機能や注意事項を、操作の方法などを説明してもらいました。

 

森の中に入って、その設置個所のポイントや、設置する場合の注意事項なども学んでもらいました。動物学専攻の学生もいるものの、一部、植物学専攻の学生もいるので、カメラトラップの経験がない人もいるので、今回の講習は、全員が操作できるようになるために行いました。動物学専攻の学生も、植物学専攻の学生も、このプロジェクトに参加してくれている学生全員に共通している事は、エコ・ツーリズムにとても興味がある事で、このプロジェクトには、多大なる関心を示してくれています。

最後に、最後に全員で記念撮影。なぜか、予定より3名多いのですが、実は、最初の6名に加えて、興味があるという学生も来てくれていますが、人海戦術が必要な場合には、このような興味がある人が多ければ助かります。

 

この3か月で、これから1年間の調査の準備は整いました。早速、7月中旬には、Sabal村とNyalitak村に滞在して、先住民族の人々への聞き込み調査や、実際に一緒に森に入って、ポイントを決めて、カメラ・トラップの設置をし、第1回目のトラップの映像の確認は、9月頃を予定しています。何が出てくるか、これからワクワクします。

 

 

 

2022年 経団連自然環保護基金 「コミュニティ・フォレストのエコ・ツーリズム開発」 打合せ、下見、カメラトラップ講習など

期間:2022年4月21~6月17日

場所:UNIMAS大学/SABAL村/NYALITAK村/UNIMAS大学試験林

責任者: Dr. Qammil

サラワク森林局(カメラトラップ講師):Mr. Marzuki

UNIMAS大学:1. Mr. Mohammad Aizuddin 2. Ms. Siti Zahidah 3. Ms. Khairunnisha

4. Ms. Glathytheia  5. Mr. Mod Azhar

サバル地区:

Mr. Ragai (Sabal村)/Mr. Ajis (Nyalitak村)

NPO担当:鍋嶋 / Alex Then

 

 

 

<<<<<戻る

**植林活動をサポート頂ける自治体や団体を広く募集しております。どうぞお気兼ねなくお問合せ下さい。こちらへ>>

**「未来のために1本の木を」は、5000円/1口で、10本を代行で植林いたします。詳しくは、会員募集のページをご覧下さい。

**当団体では、会員や賛助会員を募集しております。詳しくは、会員募集のページをご覧下さい。