ご報告

2022年度 経団連自然保護基金 プロジェクト

UNIMAS大学と共同での動植物の生態調査をもとに

「コミュニティ・フォレストのエコ・ツーリズム開発」

Develop Eco-Tourism at Sabal area and its surrounding

through ecological survey of flora & fauna with UNIMAS and the native.

 

サバル地区の小学校と村での野生動物保全の講習会(2023年3月28日)

Telagus Jerok小学校 / Nyelitak小学校 / Nyelitak村 

 

2022年度の締めくくりは、サバル地区の小学校と、村での野生動物保全の講習会を行ってきました。まず、UNIMAS大学のチームの調査をしている理由を理解してもらうために、観光客とは何か、小学生や村人の自分達の経験を思い起こしてもらいながら、人々が訪れデスティネーションは、どのようなものか、という、最終目標の基礎となる部分から、自分達の暮らす周りにも、そのような可能性を秘めているという事を、UNIMAS大学のチームの皆様の講習の軸にして説明をしてきました。

まだ、小学生は、想像するのが難しい事ではあるものの、実は、家の周りに植えられている、ドリアンやマンゴスチンなどの熱帯果物や、家にある伝統衣装や、昔から伝えられている舞踊、等の生活、そして、森林で時折見かける動物達や植物などが、彼らにとっては、ごく生活の当たり前のものが、意外と、世界の他の地域に住む人々にとっては、とても興味があるものになりうることであることを感じ取ってもらえたようで、この点は、村での講習会の村人の反応に比べ、非常に手応えがあったと思います。

 

★ Telagus Jerok小学校の講習会の様子

予定より少し早く着きましたが、すぐに準備をして、もう一度内容の再確認をしました。

全校生徒が集まり、予定通りに開始です。Mr. Aizuddin氏による和やかな司会で、開会の言葉では、小学生も期待に溢れて聞き入っていました。

まず、最初にUNIMS大学のDr. Qammil講師より、ツーリズムとは何かを、かみ砕いて分かりやすく説明して頂き、小学生の皆様も思い思いに、自分達の経験をこそこそと話していて、講師の意図を汲み取っているのが明らかでした。

そして、Awang氏より、ボルネオ島全体の有名な野生動物の代表的なもの、オランウータン、サイチョウ、テングザルなどなどを紹介し、その後、このチームが、小学校の周辺の森林をツーリズムのデスティネーションにするために、野生動物の生息状況を把握するためのカメラトラップを設置して、それが捕らえた映像などを見せて、小学校から見える森には、多様な動物がいる事実を、知ってもらいました。中には、頻繁に、家族と森に入っている小学生では、幾つかの動物は見た事がある小学生もいましたが、一方で、森の中にほとんど行った事が無い小学生もいますので、新鮮だったかもしれません。なぜか、蛇が一番、ざわつきました。

 興味をより促すためのクイズを行い、プレゼントを用意しておりましたので、全員、さらに真剣に聞いていました。 5つのクイズを用意していました。

最初は、恥ずかしがり屋が多いので、中々、手を挙げる人が少なかったですが、簡単なクイズでは、一斉に手が挙がるなど、やはり、動物は、小学生の皆様にとっては、興味深いものである事が明白で、この講習会で、なぜ、大切にするのか、大切にしたら、どのような恩恵がもたらせられるのか、など、理解してくれたと思います。

二人手を挙げて、一緒に前に出てきてしまいましたので、クイズを連続して、二人とも大正解で、プレゼントを入手。嬉しそうでした。

ただ、動物は森にとって、なぜ重要かというクイズに関しては、なぜか、「蛇」(その真意は不明)という答える小学生も二人もいるなど、正解が中々でずに、少々難しいかと思われましたが、UNIMAS大学のチームの皆さんが、ヒントなどを与えてました。

そして、彼が、そのクイズの答えに近い、動物は、果物等を食べて、種をばらまく、という事や、花粉を媒介するような回答を出し、正解しました。この小学生は、6年生で、熱帯果樹が家に沢山あり、その手伝いなどしており、森の中にも、よくついていくとの事でしたので、かなり経験値の高い小学6年生でした。

最後に、学校よりバーナーを頂き、全員で集合写真です。この講習会が、一人でも多くの小学生の印象に残る事を期待しています。

 

★ Nyelitak小学校の講習会の様子

サラワクを縦断するパン・ボルネオ・ハイウェイから横道をそれて、20分ほどの少し奥まった場所にある、Nyekitak村の小学校。全校生徒60名ほどの小学校です。

 

我々が到着した時には、既に、全員集合して、待機してくれてましたので、急いで準備して、今回は、Awang氏が、司会兼、冒頭のツーリズムに関する説明をしました。この小学校では、先生が積極的で、小学生と先生交えての講習会となりました。

 

Siti 氏が、ボルネオ島の熱帯に生息する動物の代表格を紹介しましたが、街道沿いのTelagus Jerok小学校に比べ、意外や、認識が低い印象を受けました。もともと、このような珍しい動物は、この近隣の森林に生息しているものの、それを目にする機会が少ないので、授業などで触れる事か、興味を持っていない限り、このような森林に囲まれた奥地の小学生の方が、より知らないのだという発見がありました。

 

Khairunnisha氏からは、ここから見える浦山のNyelitak山での、カメラトラップを利用しての調査の紹介をしました。調査時に、この村に滞在していた事を覚えている小学生や、一部の先生も、裏山に入るUNIMASのチームの事を覚えているようで、その時は、何をしているのか、分からなかったものの、今回の説明で、なぜ、動物を探し、それが、最終的に、人々が訪れる村にするための一環であることを理解して頂きました。

 

さて、クイズです。最初の4問は、数名、間違えたものの、その前の説明に出てきた中でも、印象深いものでしたので、簡単だったようですね。

6年生の小学生が答えていましたが、彼らは、来年(2024年1月)の中学1年生には、この村を離れて、1時間ほどのセカンダリースクールの寄宿舎に入らないといけません。

この小学生は、3年生でしたが、見事正解。最初から最後まで、一生懸命、話を聞いていました。

 

そして、最後の質問の、なぜ動物は、森にとって重要なのかに関しては、やはり正解が出ず、このような話の認識は、小学生では、まだ早いのか、という印象でした。

 

後ろの方で、参加している先生が、ウズウズしていましたので、小学生からの回答が出ませんでしたので、先生もクイズに参加してもらいましたが、理科の先生が回答するという反則技がでてしまいましたが、正解という事で、プレゼントをもらわれましたが、貰っていない子に分配していました。この理科の先生には、このような話を授業中に、分かりやすく説明して理解させる使命を与えました。最後に、Dr. Qammil講師より、纏めの話として、小学生に、どの動物と自然、そして、人々という話を、低学年の小学生にもわかるような例え話を交えて、説明して頂きました。

 

小学生のみならず、先生たちも、聞き言っていました。先生より、インドネシアとの国境の山脈(調査対象地域のクリンカン山脈)には、何か見るものが無いかとの質問がありましたが、動物のみならず、マレーシア人が好きな、川の河原や、滝などの話をすると、こんな近いのに知らなかったようで、驚いていましたが、具体的に、どのようにして行くかの質問も出ましたので、調査の助っ人のRAGAI氏は、元々、この村の出身で、今、クリンカン山脈の麓のサバル村に住んでいますので、RAGAI氏にガイドになってもらってくださいと紹介したら、その後、今週末に、RAGAI氏が同行して、先生が滝に遊びに行く事になったようです。このようにして、ツーリズムの第1歩を踏み出せたと思います。

 

2018年度のドローンを利用したプロジェクトの際に進呈した、学校や村の空からの写真のパネルは、職員室の片隅に掛けられていました。

 

★ Nyelitak村の講習会の様子

 

Nyelitak小学校のすぐそばの村でも、講習会を開いてきましたが、村の一部の水道管が破裂してたので、修復に村人が駆り出されているようで、約20名の参加と少なかったのですが、それでも、このプロジェクトに理解を示す方が多く、いろんなアイディアもでてきて、さらには、2023年度の写真コンテストの話を聞きつけていた村人が、既に、写真を撮っているのだが、その応募方法などを聞いてきて(少し気が早いのですが)、驚きました。

1400の開始でしたので、ゆっくり準備が出来ました。ただ、今回のUNIMAS大学のチーム全員がモスリムで、3月23日からの断食(ラマダン)中でしたので、少し、昼寝をしてもらい、その上での午後の村での講習会となります。感心したのは、その断食に対する、冗談は言うものの、辛そうな様子は誰も一切見せませんでした。村長さんのAziza氏に、音響装置などを借りて、準備をしてもらいました。

先の小学校での講習会と、講習の軸となる部分は、同じであるものの、Qammil講師が、村人の経験等を確認しながら、このツーリズムとは、何かという事をご説明して頂き、村人も、元々、ここの景観や物産などは、近隣の村でも知らない人が多いので、半ば、隔絶された村と長年感じており、この村や、その近隣の森林に、外部の人が来て、収入に繋がるという具体的な話には、より現実感を持つ事が出来、興味深く聞いて頂きました。

 

「?」は、このサバルにあるツーリズムの素材を、自分たちは探しており、動物か植物で、魅力的なものを発掘できれば、ハイキングの道路などを整備して、人々が訪れるエコ・ツーリズムのデスティネーションにするという目的を、参加してくれた村人の皆様は、明確に理解して頂き、自分たちが知る限りの情報を共有してくれました。

人数は少ないものの、全員、興味がある人々ばかりで、真剣に聞いてくれましたし、時折、具体的な質問なども出ていました。

Aizuddin氏と、Awang氏が、それぞれ、ツーリズムの場所になっている国立公園と、その魅力ある素材や資源の関係について話して、村人へ、今後は、そのような視点で、畑仕事の時や、森に入る時に、意識することで、魅力の素材の発掘に繋がる、というような話を、村人たちは、感銘してくれてました。

最後に、Aziza村長より、今回の講習会を受けて、自分で感じたり、村として協力できるような事を、自分なりに咀嚼して、村人に伝達してくれました。

 

このプログラムで、2022年度の予定していた事項は終了しましたが、森の中に設置しているカメラトラップは、そのまま残し、動物調査を継続しながら、2023年度の植物や景観などの発掘を、UNIMAS大学のチームと、村人と共に、行う予定です。

 

 

2022年 経団連自然環保護基金 「コミュニティ・フォレストのエコ・ツーリズム開発」 サバル地区の小学校と村での野生動物保全の講習会

期間:20233月28

場所:Telagus Jerok小学校 / Nyelitak 小学校 Nyelitak村

責任者: Dr. Qammil 

UNIMAS大学:

1. Mr. Awang Ahmad Zahid 2. Mohammad Aizuddin 3. Ms. Khairunnisha Shahirah  4. Ms. Siti Zahidah

サバル地区:

Telagus Jerok小学校の先生と全校生徒(約120名)

Nyelitak 小学校の先生と全校生徒(約60名)

Nyelitak村の皆様(約20名)

NPO担当:鍋嶋 / Alex Then

 

 

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